| 連載『少年野球のコンディショニング』 バックナンバー |
| 第1回 「少年野球、コンディショニングの現状」 |
■まずやらなければいけないこと
この連載を書かせて頂くにあたり、何よりもまず私が把握しておきたかったのが、少年野球の年間スケジュールです。チームによって多少の差はあるでしょうが、年間でどれだけの試合数をこなし、それに向けてどのような練習計画を立てているのか?それを知ることがコンディショニングの第一歩となるからです。以下に、ある少年野球チームの大まかな年間スケジュールを示します。
| 1月〜2月: |
基本的に公式戦はほとんどなし
2月下旬に6年生の卒団試合がある程度(実質的には新6年生体制のスタート) |
| 3月〜7月: |
3月上旬に公式戦スタート(毎週試合が続く) |
| 8月: |
お盆前後に試合が空く程度(上旬と下旬は合宿シーズン) |
| 9月〜11月: |
11月中旬まで公式戦が続く |
| 12月: |
公式戦はほとんどなし(6年生は実質引退) |
このチームでは、年間に約40〜50試合をこなしているそうですが、中には100試合以上おこなうチームもあるとのことで、正直驚いています。当然そうなれば、3月から11月までの間、週末の活動日はほとんどが試合ということになり、主力選手の中でもコンディションの較差が生まれてくるのは想像に難くありません。特にピッチャーの負担が最も大きくなり、主力ピッチャーの数が少ない場合はなおさらでしょう。それに、グランドの使用時間に限りがあることや1日に2試合以上おこなわなければならないなど、さまざまな制約によってウォームアップやクールダウンの時間が取れないことも考えられ、そのような状況が重なれば、ケガを未然に防ぐことはできなくなってしまいます。これでは、コンディショニングどころではありませんね。
■勝つことは大切。でも…
チームとして野球をやる以上は、一試合でも多く勝つことが一番の目標です。よく"勝利至上主義"の是非が問われますが、勝つことの目的が指導者の私利私欲のためなら、それは決して正しいこととは言えないでしょう。勝利は選手たちのためにあり、勝つための苦しみや勝ったときの喜び、負けたときの悔しさを選手みんなで分かち合うことこそ、野球に限らずスポーツ共通の醍醐味だと考えます。勝つことによって、選手がいろいろな面で成長しなければ意味がありません。勝利至上主義は、その目的によって、良くもなり悪くもなるのです。したがって、チームのめざす目標作りはとても重要です。ただ漠然と勝つことだけを目標にするのではなく、できるだけ具体的に。そして勝つためには何が必要で、どのようなことをやっていかなければならないのかを、チーム全体でよく話し合うべきです。まずは自分たちの力をよく知り、その時々でプラス10%の目標設定をすることが大切になってきます。
無理のない日程作りと目標設定が、少年野球におけるコンディショニングの初めの一歩となるのです。
■コンディショニングの現状
私がこれまでいくつかのチームを見てきた中で感じたことを述べさせて頂くと、以下のような問題点が挙げられます。
●ウォームアップやクールダウンのやり方がチームによってまちまち
→キャプテンにイニシアチブを執らせていることが多く、選手まかせ
→選手はやらされているだけで意味を理解しているか疑問
→結果的にどの筋肉や関節を伸ばしているのか、動かしているのかが曖昧になる
●正しいフォームに関する指導者の理解度がバラバラ
→「肘を上げろ」「腰を入れろ」など、何気なく使っている"野球語"の意味は?
→経験論に医科学的な裏付けがどこまで成されているか疑問
●子供たちに考えさせる時間を与えていない
→練習やトレーニングの目的を説明していないことが多い
→自ずとやらされている練習やトレーニングになり、効果は半減する
大きく分けるとこんなところでしょうか。これを読まれて皆さんはどう思われるでしょう?くれぐれも私を敵視しないで下さいね。昔気質の指導者の方は、どういうわけか理屈っぽいことを嫌います。まあそれはさておき、何事もからだで覚えさせる前に、まず頭で理解させることが大切です。それが意識することにつながり、意識して練習を繰り返すことで徐々に無意識化されていくのです。
この連載では、少年野球の心技体をどのように調整していくか、全12回の予定で解説していこうと思っています。上記のような問題点(ばらつき)が平滑化され、少しでもコンディショニングの共通知識が増えることを願って止みません。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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