| 連載『少年野球のコンディショニング』 バックナンバー |
| 第2回 「コンディショニングの分類」 |
■コンディショニングの概念を知る
前回の問題提起を踏まえ、早速各論に入って行きたいと思います。そこで、連載第2回のテーマは、まずコンディショニングを大枠で捉えて頂き、具体的にどのようなことをすればよいのかを把握して頂くことに主眼を置きます。
上図のように、コンディショニングは、外からのコンディショニングとしてテクニカルコンディショニングとフィジカルコンディショニング、内からのコンディショニングとしてニュートリショナルコンディショニングとメンタルコンディショニングにそれぞれ分類されます。もちろん、これ以外にもコンディショニングの要素は挙げられますが、導入部分としてはまずこの4つが必須項目です。コンディショニングの目的は、「障害予防」と「パフォーマンスの向上」。どうしても後者の方に目が行きがちですが、前者が土台になければまったく意味がありません。そのことをしっかりと押さえた上で、コンディショニングのいろはを理解して下さい。
■テクニカルコンディショニング
少年野球に限らず、この項目がコンディショニングの第一歩です。技術的なコンディショニングなくして、野球のコンディショニングは語れません。しかし残念ながら、この項目のばらつきが最も大きく、チームが替わればコンディショニングも替わり、たとえ同じチームであっても、監督が替わればコンディショニングも替わってしまうという現況があるのです。詳細は第3回以降の連載で述べますが、この項目でやるべきことは以下の2つ。ここでのばらつきを減らすだけでも、かなりの障害を減らすことができますので、まずは必ずここから導入していって下さい。
●「期分け」に基づく練習・トレーニング計画
●理に叶ったフォーム作り
★「期分け(ピリオダイゼーション)」とは?
これは、年間の試合計画に基づき、1年を以下の3つの期に分けることを言います。
※その年の試合計画により、多少の差異を生じます。
▼移行期:11月第4週〜1月第1週
[主な目的]
●休養とケガの集中的治療
●1年の反省と次の年間計画立案
●全身持久力と基礎体力の向上(後半より)
▼準備期:1月第2週〜3月第2週、8月(チームによる)
@一般準備期:1月第2週〜2月第2週
[主な目的]
●疲労除去能力の改善
●体力の強化
●競技技術の改善(後半より)
A専門準備期:2月第3週〜3月第2週、8月(チームによる)
[主な目的]
●スピード、反応時間の向上
●精神力(目的意識・やる気・イメージ力など)の向上
●競技技術の改善
▼競技期:3月第3週〜11月第3週(チームにより8月を除く)
@プレ競技期:公式戦の期間を除く上記の期間
Aメイン競技期:公式戦の期間
[主な目的]
●競技に要求される体力、スピード、反応時間、キレの維持
●精神力(目的意識・やる気・イメージ力など)の維持
●競技技術の強化、戦術の理解
●試合経験の獲得
チーム単位での練習は週末しかできないことが多いという環境の中で、上記のように四角四面に線を引くことはなかなかできないと思いますが、時期に応じて練習・トレーニングの目的を明確化し、何を優先的にやるべきかを理解する(させる)ことが重要です(特に移行期と準備期において)。
■フィジカルコンディショニング
この項目では、前項の期分けに基づき、以下の点について考えていきます。主に体力面のコンディショニングです。
●ウォームアップとクールダウン、セルフケア
●トレーニング
●ランニング
■ニュートリショナルコンディショニング
これは栄養面の管理ですが、この点についてはチーム単位での調整ができないため、この連載には詳述を盛り込んでいません。選手のお母様が主役となって、期分けに応じた効率のよい栄養補給を考えてあげて下さい。拙ホームページに基本的なことは掲載してありますので、ぜひそちらも御参照頂ければ幸いです。とにかく基本は「バランスのよい食事」。御家族で外食をされたときなどは、どの栄養素が足りないのかを把握し、できるだけその日のうちに補うようにしましょう。例えば、「今夜は家族で焼肉!」といった場合には、帰宅してから牛乳(低脂肪乳・カルシウム強化乳)やヨーグルト、柑橘系の果物(みかん・グレープフルーツ・キウイ・パイナップルなど)、野菜ジュースなどを摂るとよいでしょう。
それと、週末の練習や試合においては、お母様方が当番制でお茶出しや水分補給の準備をして下さっているようですが、ぜひその辺の知識も共有化して下さい。選手の水分補給には、すでにスポーツドリンクが定番となっていますが、それに含まれる糖質(甘味料)の成分と濃度に注意が必要です。できるだけ「果糖」を使用したもの(エネルゲンやアクエリアス)を準備し、練習・試合前や練習・試合の前半では3倍くらいに薄めたものを、練習・試合の後半では2倍くらいに薄めたものを、それぞれ提供してあげて下さい(徐々に濃くする)。特に太りやすい体質のお子さんをお持ちの方は、普段の食事も含め、糖質の管理には十分気を遣って頂きたいと思います。
それから、練習や試合の時間帯によっては、お弁当持参という日もあるでしょう。先日、ある中学校の練習(午前中練習で午後試合)に伺った際、選手が何を食べているのか覗いてみたところ、半分以上が手作りの弁当ではなく、コンビニで買った調理パンや菓子パンでした。中にはバウムクーヘンを1ホール、パンの代わりに食べている子供もいて、少なからずビックリしたのですが、家庭環境の多様化によりそれも仕方のないことなのかと動揺をグッと押し殺しました。どうかお子さんにお金を渡すだけでなく、せめて「おにぎりやカロリーメイト、ウイダーインゼリーなどを買いなさい」と、一言添えてあげてほしいのです。指導者の方も、たまにはお弁当のチェックをして下さい。「大きなお世話だ」と、親から文句を言われることがあるかもしれませんが…。
■メンタルコンディショニング
少年野球の場合は、お子さんたちが自ら何かを考えて行動するということはまだまだ少ないでしょう。ただ、それだけに、指導者が選手に投げかける言葉は重要です。臨機応変に受け流すことができない子供にとって、指導者の影響力は想像以上に大きく、コーチングが選手のメンタリティを左右すると言っても過言ではありません。「右向け右!左向け左!」が100%通用するからと言って、選手に考える余地も与えずに、ただ強制的にやらせる練習は考えものです。年齢に応じて、練習やトレーニングの目的を明確にし、まず頭で理解する時間を作ってあげましょう。体で覚えさせるのはそれからです。
先日、ある少年野球チームでこんなことがありました。私がケガをしない投げ方を説明したあとでキャッチボールをしてもらったのですが、キャプテンの子が一生懸命考えながらボールを投げているのを見て、初老のコーチがこんな言葉を投げかけたのです。
「おまえは何を考えながらゆっくりやっているんだ!頭で考えるより、まず体を動かせ!」
これにはさすがに温厚な(?)私もプチンッと切れて、間髪入れずその指導者に文句を言いました。
「せっかく子供が自分で考えながらやっているのだから、ゆっくりやらせてあげて下さい!」と。このエピソード、皆さんはどう思われますか?ここは怒る場面ではありませんよね。こういうときこそほめてあげないと。
といった具合に、メンタルコンディショニングでは、以下の2点について考えていきます。
●子供のメンタリティを左右するもの
●コーチング
以上、コンディショニングの概念について、御理解頂けましたでしょうか?今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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