| 連載『少年野球のコンディショニング』 バックナンバー |
| 第8回 「賢いアイシングの使い分け」 |
フィジカルコンディショニング講座の第3回目は、アイシングについてです。最近、アイシングは広く普及し、ピッチャーが投球後、肩や肘にアイシングを施す光景をよく見かけるようになりました。しかし、アイシングもやり方を間違えると、かえって逆効果となる場合もありますので、まず目的を明確にし、その目的に合った方法でおこないましょう。基本的に、体を冷やすのはよくないことなのです。
■応急処置のためのアイシング⇒"痛み"への対処
よく、応急処置の基本中の基本として、R.I.C.E.(Rest,Icing,Compression,Elevation)という言葉を聞いたことがあると思いますが、捻挫や打撲、肉離れなど急性のケガには、まず冷やすことが重要です(消炎・鎮痛作用)。この処置を怠ると、回復が遅れ、さらに悪化する恐れも出てきます。そして必ず、受傷後できるだけ早いうちに整形外科で診察を受け、レントゲンやMRIなどの画像診断により障害の程度を明らかにして下さい(接骨院や整骨院では画像診断はできません)。
応急処置としてのアイシングは、"患部の感覚がなくなるまで"を1回のアイシングの目安とし、受傷後48〜72時間は"感覚がなくなるまでアイシングをし、感覚が戻ったらまたアイシングを施すこと"を繰り返します。ケガの部位によって感覚がなくなるまでの時間はまちまちであるため、どれくらいの時間アイシングを施すかは明確に示すことができません。だいたい15〜20分くらいが一つの目安でしょう。
■疲労回復のためのアイシング⇒"張り"への対処
先ほども述べたピッチャーの習慣的なアイシングは、ほとんどの場合、こちらの部類に属します。この場合のアイシングの目的は、血行促進作用(血管のリバウンド効果)で、応急処置のように冷やしすぎてはいけません。そして必ず、アイシングの直後に入浴やストレッチ、低負荷でのトレーニングなどで血行を促進させることが必要なのです。この辺を前項の応急処置のアイシングと混同してしまうと、かえって回復を遅らせ、翌日に影響が出てしまうこともあるのです。

※上図はあくまでもイメージ.「アイシングをおこなっても血管の内径はあまり変化しない」という研究報告もあります |
プロ野球で中継ぎや抑えのように、毎日ブルペンで登板の準備をしなければならないピッチャーの場合は、アイシングをすると次の日肩を作るのに時間がかかるなどの理由で、アイシングをしない選手もいます。
疲労回復の目的でアイシングを施す場合は、張りの出ている部位の深部まで冷えたらそれでやめ、すぐに風呂に入るのがいいでしょう。そしてさらに、風呂で温冷交代浴(シャワーを使って水→湯→水→湯→…→水の順にそれぞれ1〜2分ずつ、合計水6回・湯5回程度、疲労が蓄積している部位にかける)をおこなえば、疲労回復が促進されます。張りが強く、若干の痛みを伴う場合は、入浴後、市販のマッサージローションやジェル(バイオフリーズなど)、消炎剤(アイスラブクールやバンテリンなど)を塗擦すれば、さらに効果的でしょう。
■アイシングの注意点
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アイシングに使用する氷は、0〜1℃のものを使うこと.製氷器で作ったものがベストだが、冷凍庫で作ったものを使う場合は、必ず一度水道水で流し、表面が溶け始めた氷を使うとよい.
⇒アイスノンなどを使う場合も、必ず水にくぐらせ、タオルなどで巻いて使用する.絶対に肌に直接当てないこと(凍傷にならないように). |
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氷をビニール袋に入れて使う場合は、ビニール袋を二重にし、アイシングを施す部位に合わせて氷の量を調節する.氷を平面状に整え、必ず中の空気を抜き、しっかりと口を止めること. |
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ビニール袋や氷のうで作ったアイスパックを、伸縮性のバンテージで固定し、軽く圧迫(応急処置の場合は強めに圧迫)をかけること. |
以上、賢いアイシングの使い分け、御理解頂けましたでしょうか?アイシングに関しては、まだまだ研究段階という側面もあり、常に新しい情報をチェックする心懸けも必要です。今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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