| 連載『少年野球のコンディショニング』 バックナンバー |
| 第10回 「ランニングの基本的な考え方」 |
フィジカルコンディショニング講座の最終回は、ランニングについての基本的な考え方です。ランニングはグラウンドでおこなうトレーニングとして、最も頻繁におこなわれる種目ですが、まだまだ期分けの概念が浸透しておらず、一年中同じメニューの繰り返しというチームも多いのではないでしょうか。
■ランニングの期分け
期分けによる各期の目的は以下の通りです。
【移 行 期】心肺持久力の向上、抹消循環の改善
【一般準備期】耐乳酸性能力,回復力の向上
【専門準備期】ダッシュ力,瞬発力,反応時間の向上
【競 技 期】体(特に下半身)のキレの維持
具体的には、移行期では、10〜15分のジョギング、12分間走(最大酸素摂取量との相関が高い)。一般準備期では、P-P走(レフト線とライト線の間を90秒インターバルでダッシュ)5〜6本、P-Cダッシュ&C-Pジョグ(レフト線またはライト線⇒センターのダッシュと、センター⇒ライト線またはレフト線のジョギングを連続で繰り返す)3〜4本、200m追い抜き走(2列縦隊で200mトラックをゆっくりジョギング.最前列の選手2人がトラック1周ダッシュし、2列縦隊の最後尾に着いたら、次の最前列の選手2人が1周ダッシュ.以後繰り返し)1〜2本、200mピラミッド走(50m⇒100m⇒200m⇒100m⇒50mの順番でダッシュを繰り返す.50mと100mの間が30秒インターバル、100mと200mの間が1分インターバル)1〜2本。専門準備期から競技期にかけては、反応系ドリル(手指合図)、塁間走(1塁⇒2塁)、1/2塁間走、ベースランニング(スパイク着用)などをそれぞれおこなうとよいでしょう。なお、これらのメニューは、小学5・6年生〜中学生対象です。
■野球に長距離走は必要なのか?
長距離走をたくさんおこなったからと言って、野球のパフォーマンスが直接向上するわけではありません。野球で主に必要なのは、やはり瞬発力です。しかし、上記にもあるように、移行期に長距離走をおこなうことで、心肺持久力を向上させ、抹消の毛細血管数を増やしておけば、結果的に疲労回復力を高めることができ、障害の予防につながるのです。シーズン中(専門準備期〜競技期)の長距離走は、あくまでもクールダウンが目的であり、それ以外の目的でおこなう必要はありません。よく、ミスをしたときや試合に負けたときのペナルティとして(特に夏場)、選手に長い距離を走らせている光景を目にしますが、これはあまりにもバカげています。
■走り方のチェックをしよう
ランニングのプログラムがきちんとできていたとしても、走り方が悪ければ運動の効率も悪く、腰や膝、足首のケガにもつながりかねません。一昔前までは、腕を大きく振り、ももを高く上げて走れ、というのが走り方の定石でしたが、腕を大きく振る(特に後ろに)ことは、上半身と下半身のねじれを生み、ももを高く上げることは、体の上下動を生み、それらが大きなロスにつながることがわかってきました。そのため、最近では、上体のねじれが起きない程度の腕の振り(肩甲骨の柔軟性も重要)と、ももを高く上げないことが、ロスの少ない走り方だということになってきています。東洋人は、黒人などに比べて骨盤が後傾していると言われており、そのため、ももが楽に上がってしまうのです。また、かかとから着地し、つま先で地面を蹴るというのもロスの一因とされ、できるだけ足首の角度は変えずに、すり足感覚で前に前に素早く足を出すことが、上下動を減らす一手段です。"水の上を走る忍者"を思い浮かべてみると、何となくイメージできるのではないでしょうか。
■扁平足は要注意
扁平足、つまり生まれつき土踏まず(縦アーチ)の少ない人は、接地面積が広い分、短距離には強いのですが、その分、すぐに疲れてしまいます。ランニング量が増えるこの時期、扁平足の選手がよく罹るスポーツ障害に、足の甲の疲労骨折とシンスプリントがあります。シンスプリントは、主に向こうずね(脛骨)の内側に痛みの出る障害です。土踏まずが少ない分、地面からの衝撃を吸収し切れずに、足の甲や下腿に影響が出てしまうのです。扁平足は遺伝的な要因が高いため、ある意味どうしようもありません。
この障害を予防するためには、衝撃吸収性の高いランニングシューズを履くことも大切ですが、足裏を鍛えておくことがまず重要です。具体的には、足趾(足の指)のグーパー運動や、タオルギャザー(床の上にタオルを敷いて、その一端に足を置き、足趾をフルに使ってタオルのもう一端を引き寄せる運動)が有効です。また、青竹踏みや土踏まずのマッサージもおこなうとよいでしょう。
以上、ランニングの基本的な考え方、御理解頂けましたでしょうか?今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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